大学を卒業後、専門分野の修得を望み改めて学び直した彼は
希望通りの会社に就職後、10余年が過ぎた。
責任ある仕事を任され夢中に研究に取り組み充実していると言う。
結婚を案じ続けていた親は、親戚や知人からの縁談をその都度見せてはいたが
一向に耳を傾けない息子に、堪忍袋の緒が切れたと「結婚相談所・埼玉」の当社を訪れた。
「息子の結婚を見届けなければ死ぬに死ねない、それだけが悩みで他には思い残すことはない」と
言い切る親御さんに、本気の念が伺える。
「結婚して良し、しなくて良し」「人生は人それぞれ、悔いなく生きる事」なぁんて、言っている場合じゃない。
「結婚イコール幸せ」そう思う親御さんの気持ちも痛いほど判る。
連日の様に口うるさく言うのではなく、今後の事を心底心配していることを温かく伝え
自分の人生をどう考えているのか、その気持ちを穏やかに真剣に聞く事が大切だとアドバイスした。
親の言う事は、大半、的を得ていて最もな話だから、尚更聞きたくないのが子供の当然の心理デアル。
「気が向いたら来るように言ってください」と話すと、早速本人からの予約電話が入った。
あっさりと来社の日時を決めた彼は、電話口で「結婚しないと決めているわけじゃないのですが
相手がいないのに結婚しなさいと強く言われて・・・本当に困っていました」と、本音を話してくれた。
いつもの様に「仕事の代わりはいても、貴男の代わりはいない」事と
「年令は大切な財産」だと伝えたけれど、判っているのである。
来社し世間話を挟んだ話は盛り上がり、かつて結婚を考えたお相手からのお断りに
深く傷ついた失恋の痛手を打ち開けた。
その気持ちをずっと引きずり、結婚する気にはならなかったとも言った。
風の便りに彼女が結婚したことを知り、気持ちにけじめがついたのだろう。
「仕事は好きな分野だから確かに面白いが、結婚もしたいから時間をとるようにします。
今までは時間があると仕事していましたから」と言い
敢えて結婚を遠ざけ仕事に逃げていた思いを明かした。
親のきっかけが功を奏して、彼の気持ちは結婚に向けて熟し始めた。
実家に遊びに来る甥や姪が可愛いと話し、子供が欲しいと結婚の夢を笑顔で語った。
親御さんは結婚が決まったかのように、入会を大いに喜んでくれた。
お見合い不調も続いたが、条件と笑顔とひたすらの婚活頑張りが功を奏し
隣町のひとつ年上の穏やかな女性と、ほどなく結婚を決めた。
良縁は実る時は早い。新居の準備も始まり母の笑顔が輝いている。
「動けば縁も運も動く、人生は創れる」「近道は始める事」「親がきっかけを」