定年退職後も長く勤務していた公共の施設に非常勤で勤め、2年毎の契約更新をしていたが
今は介護職として働き利用者さんとの日々は楽しいと語るKさんは元気な74歳。
もともと書物が好きだったので好きな仕事を続けながら、休日は読書を楽しんだ。
大恋愛の末に結婚した妻との間に男の子3人を授かり、成長する子供達を楽しみに平和な暮らしが続いていた。
三男が成人を迎え家族の記念写真を撮影した2か月後に、妻の進行したステージ4のガンが見つかり、医師からは手術は出来ない旨を伝えられた。
抗がん剤による治療が開始され入退院を繰り返した。元気だった妻が「体調が優れない」と言った時
風邪を引いた程度にしか考えず受診が遅れた事に深い後悔が残ると語る彼。妻は先に逝く事を申し訳ないと謝り
残される自分を案じタンスにはメモを張り、判り易くしてくれた。
眠る様に旅立った妻の葬送が過ぎ、妻が残してくれた「お料理と家事」のノートを見ながら
やっとお味噌汁と焼き魚がやけるようになり、触ったこともなかった洗濯機の使い方にも慣れて、家事は最低限度出来るようになった。
妻亡き後、子供達は優しい伴侶に出逢い結婚し子供を育て温かい家庭を築いている。
時々訪ねてくれる妻の親友は、彼の知らない妻とのエピソードを沢山話してくれて改めて妻の思いやりのある人柄を知り嬉しくもあり逢えない寂しさで辛くもあった。
仕事の再契約の時期になり人様のお世話をしたいと心機一転、介護資格を取得し新たな勤務を始めた。
入所の方のお世話に動き回り、言葉掛けや食事介助もお役に立てる幸せで楽しく一日があっという間に過ぎた。
ある日、面会に訪れたご家族との楽しそうな語らいの様子を見て、ふと一人の自分が急に寂しく思え孤独感がいっぱいに溢れて来た。
家に帰っても今日の出来事を伝える人のいない寂しさ、「今日は寒かった。お疲れ様」当たり前と思っていた妻との何気ない言葉を思い出し、話し相手が欲しいと思い始めた。
長男に結婚の話をすると「親父の思った様にしたら良い、親父はお袋の面倒をずっと見ていて感謝しているし親父の人生だから」と即答。
子供達は高齢の父の一人暮らしを心配して丁度話し合っていたところで、タイミングの良さにホッとした。
再婚のお相手もご主人とは死別されお子さんが三人おられる方で医療に携わっていた明朗快活で頼もしい女性。
明かりの灯る我が家に帰る有難さや食事を作り待っていてくれる事が嬉しいと繰り返す。
大自然豊かな山里のご自宅に伺うと、家庭菜園の野菜が実り、玄関に入るとハイキング用の靴が2足並び、生活の楽しさが伝わってきた。
人は苦しみや悲しみに耐えても、寂しさに免疫はないと言う。テキパキと家事や料理をこなしながら、常に話し続ける妻の逞しさ。
双方の子供達も休みには家族を連れて来ては、庭のバーベキューを楽しんでいる。
「亡き妻(夫)の願いはひとつ、夫(妻)の笑顔。再婚それも一つの道」
今日がいかに充実しているか、頼り頼られる温かさと巡った縁に2人は感謝している。
【公式HP成婚事例より抜粋:栃木県在住 70代男性】
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